スタッフ間の連携、細やかな配慮に感謝
入居してうれしかったのは食事の面でのケアです。私は甲状腺の病気があり、海藻類を食べてはいけないという食事制限がありますが、それをお伝えして以来、一度も海藻類は入ってきません。また、取り除いた分は他の食材で補ってくださる。スタッフ間の情報共有の徹底と、厨房の方の細かな配慮に感謝しています。
スタッフと入居者は、対等であるべき
ハウスにお願いしたいのは、過度なへりくだりをしないでほしいということです。高級ホテルのようなホームほど顕著ではありませんが、ここでも多少、見受けられます。ケアする人もされる人も対等でありたいのです。
逆に、丁寧な言葉遣いが必要、と感じるときもあります。認知症を患っている方に対しても、たとえば「いいよ、いいよ」ではなくて「いいですよ」と丁寧語で話してほしい。悪気はなく、忙しさや、あるいは親しみからそのような言葉が口をついて出てしまうのだと思いますが、これは人間の尊厳に関わることですから、そこまで含めての対等の関係をつくっていきたいのです。ある一時期だけを切り取って人間を見るのではなく、過去も現在も1本の線にして、包括的な視線で見ていただければと思います。
男性は、有料老人ホームでの共同生活に向いている!?
ところで、入居して気づいたことがあります。それは、男性の入居者の謙虚さ。立派な社長さんや社会的に活躍された方もいらっしゃるでしょうに、皆さん、それを絶対にひけらかしません。男性は環境にあった振る舞いができるという意味で、やはり社会的な動物なのだと、そういう面では男性にはかなわないと思いました。勉強になります。私も含めて、どうしても働いていた女性は、「自分」を出してしまいがち。気をつけます。それから、居心地のいい共同生活をする上で大事なことは、自分を律し、入居者同士はほどよい距離を保つことだと感じました。
ハウスのサービスと地域資源、両方を活用していく
とはいえ、オープンな性格ですので、入居2カ月弱というのに、ライフの方/シニアの方問わずさまざまな方との交流をしています。誘い合って喫茶店に出かけたり、ともに俳句を楽しんだり。とくに私は体を動かすことが好きですので、ハウス内で入居者とともに行う体操と、地域のスポーツクラブや荒川区の施設など目的に合わせてバランスよく活用していこうと考え中です。
幸い、このハウスは立地がいい。夫のお墓がある谷中にも近いですし、バスにのれば、東京の街のたいていのところにはアクセスできます。先日は、浅草の観音様へお参りに行ってきました。押上のスカイツリーも基礎からしっかり確かめてきました。元気なうちは、ここを拠点に積極的に街歩きを楽しみたいです。
ホームシックをどう克服するか――孤独力の必要
ただ、45年も住んでいた自宅にはなかなか心が離れがたいもので、先日も、自宅に物を取りに帰ったところ、庭のかりんの花を見てホームシックになってしまいました。いくら明るいハウスでも、やはり居室に入れば、自宅での一人暮らし同様、孤独です。かえって孤独が際立つということもあるでしょう。自宅にせよハウスにせよ、孤独とうまくつきあう力「孤独力」を身につけることは必要だと感じます。孤独の時間も大事。自立した個をもって、孤に耐える力を、共同生活を送る上で身につけていきたいと思っているところです。
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